加圧では腕は太くなったが、太ももは高重量でしか太くならなかった
要点
低強度加圧トレーニング(1RM40%+動脈閉塞圧60%)と高強度トレーニング(1RM70%)を週3回・8週間比較したところ、腕囲は両群で増えたが、大腿囲が増えたのは高強度群だけだった。筋と代謝に関わるマイオカインのアイリシンも高強度群で有意に大きく増加し、低酸素の指標であるHIF-1αは両群同等に上昇した。低酸素刺激は共通で、下半身を動かしたのは機械的な負荷のほうだった。
過体重の若年成人28名を2群に無作為割付した。一方は1RM40%の重量に動脈閉塞圧60%の加圧、もう一方は1RM70%の高強度。どちらも週3回、8週間。最終解析には各群12名が含まれた。
結果は部位で分かれた。腕囲は両群とも増えた。しかし大腿囲が増えたのは高強度群だけだった。同じプロトコル、同じ期間で、上半身と下半身の反応が違ったということだ。
なぜ腕は伸びて太ももは伸びなかったのか?
血中指標が分岐点を示している。低酸素の指標であるHIF-1αは両群とも有意に上昇し、群間差はなかった。加圧が生むとされる低酸素・代謝ストレスは、高重量トレーニングも同程度に生み出すということだ。一方アイリシンは両群で上がったが、高強度群のほうが有意に大きく上がった。二つの方法が共有していない変数はひとつ、バーに載った重量だけである。
下半身は上半身より筋断面積が大きく、日常的に体重を支えている。腕が40%の負荷に反応する閾値と、大腿が反応する閾値が同じである理由はない。8週間で太ももを動かすには、より高い負荷が必要だったということになる。
ミオスタチンはどうなったか?
どちらの群でも変化しなかった。ミオスタチンは筋成長を抑制するタンパク質で、トレーニングで下げることが目標のように語られることがあるが、8週間ではどちらの方法もこの値を動かせなかった。この期間に起きた筋肥大は、ミオスタチンを下げる経路を通っていない。
では加圧は無意味なのか?
そうではないし、この研究の結論もそこではない。腕は1RM40%でも70%と同程度に太くなり、低酸素反応も同等だった。膝や腰の事情で高重量を扱えない期間に、加圧は成立する選択肢だ。ただし代替品ではなく代替手段である。高重量が扱えるのに加圧に置き換えるのは、下半身では損になる。
ビッグ3をやる人にとっての意味は?
ビッグ3のうち二種目は下半身であり、マッスルインデックスの合計の大半をそこが占める。この試験が言っているのは、まさにその二種目の筋が8週間では低負荷加圧に反応しなかったということだ。腕のボリュームやベンチの補助を加圧で埋めるのは合理的だが、スクワットの代わりに加圧レッグエクステンションを置く配置はスコアを上げる方向ではない。
解析対象は24名、期間は8週間。周径囲は筋量の代理指標であり精度は高くない。より長期なら加圧群の太ももも追いつく可能性は残る。ただし同じ8週間で何を選ぶかという問いなら、答えは明確なほうだ。
加圧の原理とセッティングは加圧トレーニング(BFR)は軽い重量でも高重量並みの筋肥大を起こす、通常のトレーニングに加圧を足した場合は加圧を通常のトレーニングに足すとで扱った。
よくある質問
加圧トレーニングで下半身は太くなるか?
8週間では難しかった。1RM40%・動脈閉塞圧60%で週3回8週間トレーニングした群は腕囲は増えたが大腿囲は増えず、1RM70%の群だけが大腿囲も増えた。下半身は上半身より高い負荷を必要とした。
加圧と高重量、どちらが優れているか?
腕は互角、下半身は高重量が優る。腕囲と低酸素指標HIF-1αは同等だったが、大腿囲の増加とアイリシンのより大きな上昇は高重量群に属した。高重量が扱えるなら高重量が基本になる。
加圧はどんなときに使うべきか?
関節の痛みやリハビリで高重量を扱えない期間だ。低負荷でも筋肥大反応が出ることは確認されており、休むよりは良い。高重量が可能な状態での置き換えとしては、下半身で損をする。
トレーニングでミオスタチンは下がるか?
この試験では下がらなかった。低強度加圧も高強度トレーニングも、8週間後の血中ミオスタチンに有意な変化はなかった。筋肥大がミオスタチン抑制を介して起きるという説明はこのデータでは支持されない。
HIF-1αが両群で同等に上がったことの意味は?
加圧が生むとされる低酸素・代謝ストレスを、高重量トレーニングも同程度に生み出すという意味だ。二つの方法を分けた変数は低酸素刺激ではなく機械的負荷であり、下半身の成長はそちらに従った。
出典: PubMed