脚トレを足しても腕の筋肥大は減らなかった
要点
トレーニング未経験者105名が6週間・計18回、低負荷(1RMの30%)の肘屈曲運動を限界まで行い、うち1群は脚ごとに4セットの膝伸展運動(20~30RM)を追加した。上腕前面の筋厚増加は腕のみの群で0.18cm、脚トレ追加群で0.19cmと差がなく、1RMの伸びもそれぞれ0.32kgと0.25kgで変わらなかった。通常の食事条件では、より多くの筋肉を動員しても他部位の成長は削られなかった。
脚トレをすると上半身に回る「成長リソース」が奪われる — ジムで長く生き残ってきた説だ。Journal of Strength and Conditioning Researchに掲載されたこの試験は、その懸念を正面から測定した。6週間後、腕の筋肥大の差は0.01cmだった。
試験はどう設計されたのか?
未経験者105名を3群に分けた。片腕の肘屈曲運動を限界まで行うだけの群(36名)、同じ腕トレに脚ごと4セットの膝伸展運動を追加した群(33名)、運動しない対照群(36名)である。トレーニング群は6週間、監督下で18回のセッションを行い、腕の運動は1RMの30%で2セット、毎回限界までだった。
結果はどれほど近かったのか?
6週間の前後で超音波により上腕前面の筋厚を、そして肘屈曲の1RMを測定した。筋厚の増加は腕のみの群で0.18cm、脚トレ追加群で0.19cm。1RMの伸びはそれぞれ0.32kgと0.25kgだった。ベイズ解析で比較しても「競合」仮説を支持する根拠は出なかった — むしろ脚トレを足した側がわずかに多く育っている。
なぜ競合しないのか?
この試験がメカニズムまで解明したわけではないが、結果は、成長シグナルが全身のリソース配分ではなく鍛えた筋肉ごとに局所的にかかるという描像と整合する。シグナルの調節についてはmTORC1はボリュームのつまみではないで詳しく扱った。著者らが残した条件もある。はるかに多いトレーニング量や栄養摂取が制限された状況でも競合が起きないかは、未検証だ。
ビッグ3の観点で変わること
マッスルインデックスはスクワット・ベンチプレス・デッドリフトの1RM合計から算出される。3種目のうち2つは下半身と後面連鎖だ。ベンチプレスの成長を守るために脚トレを後回しにする戦略は、このデータで根拠を失う — 脚を鍛えても腕はそのまま育ち、そもそもスコアの3分の2は脚なしでは上がらない。トレーニング量の配分はボリュームと強度のどちらを増やすかを併せて読むとよい。
対象は未経験者で、種目は低負荷の単関節運動2つ、期間は6週間である。高度に鍛えられたリフターの高ボリュームプログラムや、減量中のように栄養が制限された条件では結果が異なりうると、著者ら自身が述べている。
よくある質問
脚トレは上半身の筋肥大を妨げるのか?
この試験では妨げなかった。未経験者105名が6週間鍛えた結果、腕だけの群の上腕筋厚は0.18cm、脚トレ4セットを追加した群は0.19cm増えて、事実上同じだった。
筋肉同士が成長リソースを奪い合うという説は何か?
一度に動員する筋量が増えると、回復と筋合成に使う全身のリソースが分散し、部位ごとの成長が減るという懸念だ。この試験は通常の食事条件で、そうした競合の根拠を見つけられなかった。
どんな条件なら競合が起きうるのか?
著者らは、はるかに多いトレーニング量や栄養摂取の制限が競合を生む可能性は残っており、追加研究が必要だとしている。この試験は低負荷の運動2種目と自由な食事条件だった。
トレーニング経験者にもそのまま当てはまるか?
この試験の対象は未経験者105名だった。経験者の高ボリュームプログラムで同じ結果になるという直接の根拠は、この研究にはない。
出典: PubMed