速度が10%落ちたところでセットを切ると、レップは半分で出力は残る
要点
1RMの60%で3セット、バー速度が1レップ目から10%落ちたら切る方式と20%落ちたら切る方式を比較した。総レップは約12回と約24回で2倍の差、血中乳酸の上昇は11%と29%に分かれた。決定的だったのは出力である — 10%基準では運動後のチェストプレス最大パワーが3%上がり、20%基準では4%下がった。血圧と心拍数には両方式で差がなかった。
セットをどこで切るかの決め方は3つある。決めた回数を満たすか、挙がらなくなるまで行くか、バー速度が一定割合落ちたら止めるかだ。3つ目を速度基準トレーニングと呼び、この研究はその基準線を10%と20%に分け、同じ人に1週間の間隔で両方を行わせた。
条件は同一だった — チェストプレスとレッグプレス、1RMの60%、3セット。違うのは止める基準だけ。結果は総レップ約12回対約24回。基準線を10ポイント遅らせるだけでセッションの量が2倍になった。
乳酸はどれだけ違ったか
血中乳酸の上昇幅が11%対29%。レップが2倍であることを踏まえれば想定内だが、乳酸そのものが目的のトレーニングは稀だ。問題はその代償に何を失うかである。
なぜ出力は逆方向に動いたのか
運動の前後で、同じ重量に対して出せる最高速度と最大パワーを測定した。チェストプレスでは10%条件で最大パワーが3%上がり、速度も2%上がった。20%条件ではパワーが4%下がり、速度も4%下がった。つまりセットを早めに切ると、トレーニング終了時点で体は開始前より良く動いており、遅く切ると動かなくなっていた。
心血管への負担は
収縮期・拡張期血圧と心拍数は両方式のあいだに有意な差がなかった。レップが2倍で乳酸が3倍近く上がっても、急性の心血管反応は同程度だったということだ。負担を心配してレップを減らす理由は、この指標からは出てこなかった。
ではどちらを使うべきか
目的による。出力と速度を保ちながら頻繁にトレーニングしたいなら、10%基準はセッション後の状態を良く残す。筋肥大のように総ボリュームが要る局面なら、20%基準は同じ時間で2倍のレップをくれる。局面ごとに使い分けるのが実質的な活用法だ。
速度を測るには機材が要るが、基準の論理は機材なしでも使える。レップが目に見えて遅くなる最初の地点がおおよそその境界だ。ボリュームと強度の釣り合いはトレーニングのボリュームと強度で扱った。1RMに換算される記録を追うなら、出力が保たれるほうが次のセッションの出発点を高くする。
参加者は平均81±8歳の高齢者29名だ。回復余力の大きい若いリフターに出力低下の幅がそのまま当てはまるとは言えない。方向 — セットを遅く切るほどセッション後の出力が下がる — は年齢層を越えて一貫して報告されているが、数値はこの集団のものである。
よくある質問
速度低下10%と20%ではどちらがいいか?
目的による。10%基準は総レップが半分だがセッション後の最大パワーが3%上がった状態で終わり、20%基準はレップが2倍だがパワーが4%下がった。出力と速度の維持が目的なら10%、ボリュームが目的なら20%が合う。
速度基準トレーニングとは何か?
決めた回数や限界地点ではなく、バーの移動速度が1レップ目から一定割合落ちたらセットを切る方式だ。同じ重量でもその日の状態に応じてレップ数が自動的に調整されるため、毎セッションの努力度が均一になる。
セットは限界まで行うべきではないのか?
この研究では、セットを遅く切るほど血中乳酸は上がった(29%対11%)が、運動後の最大パワーと速度はむしろ下がった。ボリュームが必要な局面には有効だが、毎セットをそう終えると次のセッションの出力を削ることになる。
レップを2倍にすると血圧も上がるのか?
この研究では収縮期・拡張期血圧と心拍数のいずれにも両方式で有意な差がなかった。レップが2倍で乳酸が3倍近く上がっても、急性の心血管反応は同程度だった。
出典: PubMed