ビタミンB12は50歳から吸収が落ちる — 高齢者の欠乏率は20〜40%
要点
ビタミンB12の推奨摂取量は成人男性で1日2.4マイクログラムと全ビタミン中もっとも少なく、肉を食べる男性は通常1日5マイクログラムほど摂っている。それでも高齢者の欠乏率は20〜40%に達する。原因は摂取不足ではなく吸収だ。50歳以上の10〜30%に萎縮性胃炎が生じて胃酸とペプシンが減り、タンパク質に結合したB12を切り離せなくなる。そのため50歳以降は、強化食品やサプリメントの遊離型B12のほうが確実な供給源になる。
ビタミンB12の1日推奨摂取量は2.4マイクログラムだ。すべてのビタミンの中でもっとも少ない量で、体は肝臓に最大2,500マイクログラムまで蓄えられる。肉を食べる男性は通常1日5マイクログラムほど摂り、余った分は尿として出す。
数字だけ見れば欠乏が起きる理由はない。ところが高齢者の欠乏率は20〜40%だ。70歳以上を対象にしたある研究では男性の22%が欠乏で、女性は8%だった。
なぜ年齢とともに不足するのか
食べる量ではなく切り離す能力の問題だ。食品中のB12はタンパク質に結合した状態で入ってくるため、分離するには十分な胃酸とペプシンなどの消化酵素が要る。しかし50歳以上の10〜30%で胃粘膜に炎症が起きる萎縮性胃炎が現れ、この状態では胃酸もペプシンも減る。
そのため、B12にかぎっては自然食品優先の助言が逆になる逆説が生じる。年を重ねた消化器は食品タンパク質に結合したB12を効率よく分離できない一方、強化食品やサプリメントのB12はすでに遊離した形なのでその段階を丸ごと飛ばせる。50歳以降も強化食品を摂り続け、サプリメントを検討するよう勧められるのはこのためだ。
どんな食品に含まれるか
動物性食品を食べるなら、牛肉、豚肉、鶏肉、卵、魚介類が良い供給源だ。貝類はとくに密度が高く、小さいムール貝2個で1日分が満たされる。ギリシャヨーグルトやカッテージチーズも寄与する。ある栄養士は1日に手のひらサイズ4回分の動物性タンパク質を勧めている。
ビーガンや肉を減らしている人は、強化シリアル、強化された植物性ミルク、ニュートリショナルイースト(チーズ風味の不活性酵母)で補う。ニュートリショナルイーストは大さじ1杯で1日推奨量の100%を満たす。なお「強化シリアル」は特別な製品ではなく、市販の箱入りシリアルの大半がそれにあたる。もちろん強化されていることが砂糖の量を帳消しにするわけではない。
不足するとどんな症状が出るか
欠乏自体は多くないが、症状は軽くない。疲労と脱力、消化器の不調、手足のしびれが代表的だ。進行すると赤血球が大きくなり数が減る巨赤芽球性貧血につながり、疲労、蒼白、神経の問題、記憶力の低下を起こす。吸収そのものが妨げられる自己免疫疾患である悪性貧血もある。
疲れているからといってB12欠乏と決めつけることはできない。確かめる方法は血液検査だけだ。サプリメントを摂ると決めたなら第三者検証(USP、NSF など)のマークがある製品を選び、用量は医療者と決めること。メガドーズはたいてい不要で、ある専門家は500マイクログラムを超えないよう勧めている。
筋力スコアとの関係
相対筋力スコアには40歳からマスターズ補正係数がかかる。同じ記録でも年齢が上がるほどスコアが上がる設計なのは、年齢を重ねたリフターが同じ数字を保つことが実際に難しいからだ。B12欠乏はその難しさを静かに大きくする。疲労と脱力はトレーニングボリュームを削り、末梢神経の症状は重い重量でこそ必要なグリップと固有感覚を揺らす。40代後半以降で説明のつかない停滞と慢性的な疲労が重なるなら、プログラムを組み直す前に血液検査のほうが安くて速い確認になる。
よくある質問
ビタミンB12は1日どれくらい必要か?
成人男性で1日2.4マイクログラムと、全ビタミン中もっとも推奨量が少ない。肝臓に最大2,500マイクログラムまで蓄えられ、肉を食べる男性は通常1日5マイクログラムほど摂取している。
なぜ50歳以降にB12が不足するのか?
摂取ではなく吸収の問題だ。50歳以上の10〜30%に萎縮性胃炎が生じて胃酸とペプシンが減り、食品タンパク質に結合したB12を分離できなくなる。高齢者の欠乏率は20〜40%に達する。
B12欠乏の症状は何か?
疲労と脱力、消化器の不調、手足のしびれが多い。進行すると巨赤芽球性貧血による蒼白、神経障害、記憶力低下が現れうる。確定診断は血液検査でのみ可能だ。
どんな食品にB12が多いか?
牛肉、豚肉、鶏肉、卵、魚介類が良い供給源で、貝類はとくに密度が高く小さいムール貝2個で1日分になる。ビーガンなら強化シリアル、強化植物性ミルク、ニュートリショナルイーストを使う。ニュートリショナルイーストは大さじ1杯で1日推奨量の100%を満たす。
B12のサプリメントを摂るべきか?
食事制限や年齢のせいで十分に得られない場合に検討する。第三者検証のマークがある製品を選び、用量は医療者と決めるのがよい。メガドーズはたいてい不要で、500マイクログラムを超えないよう勧められている。