50-35-21-14の高レップ・ラダーは筋肉はつくが1RMは上がらない
要点
50-35-21-14のようにレップ数を下ろしていく高レップ・ラダーは、1種目あたり120レップ、6種目なら720レップのボリュームになる。50レップできる負荷は概ね1RMの半分以下で、失敗近くまで追い込めば筋肥大の刺激としては十分だという結果が繰り返し確認されている。ただし最大筋力は高負荷・低レップの方がはるかによく伸びるため、ビッグ3の1RMから計算される相対筋力スコアはこのルーティンだけではほとんど動かない。
レニー・クラヴィッツは62歳で、1990年代後半から同じコーチと30年近く練習を続けている。公開された内容は6種目をそれぞれ4セットで50回、35回、21回、14回と下ろす構成だ。アンダーハンド・ラットプルダウン、マシンチェストフライ、シーテッド・トライセプスエクステンション、スーパーマン、ハンギング・アブクランチ、シーテッドカールからアーノルドプレスへ繋ぐ動作。
まず数字だ。1種目で120レップ、6種目なら720レップ。このルーティンがなぜ効いて見えるのか、そして何をしてくれないのかは、ほぼこの数字から出てくる。
50回できる重量はどれくらい軽いのか
最初のセットで50回を埋めるには、負荷はたいてい1RMの半分以下まで下がる。つまりこのルーティン全体が低負荷・高レップ域で回っている。無意味という意味ではない。セットを失敗近くまで持っていけば、低負荷でも高負荷と同程度の筋肥大が起きるという結果が何度も確認されている。筋肉をつけるにはこのやり方で通る。
問題は最大筋力だ。最大筋力は筋のサイズだけの関数ではなく、神経系がどれだけの運動単位をどれだけ速く動員できるかの問題で、この能力は実際に重い重量を扱わないと上がらない。筋肉が大きくなった分だけ1RMが自動的に付いてこない理由がここにある(筋のサイズと筋力の相関)。
種目構成が語っていること
- 6種目のどれも大きな荷重をかけられない。ラットプルダウンもマシンフライも、シーテッドのエクステンションとカールもマシンか単関節種目だ。
- スクワットもヒンジも水平プレスもない。下半身種目が丸ごと抜けている。
- スーパーマンとハンギングクランチは体幹種目で、いわゆる「腹筋ルーティン」の枠を占めている。
見た目をつくる手段としては合理的な構成だ。上半身の表層と体幹を頻繁に、多く使い、関節への負担が低い。62歳で30年近く続けられた理由もそこにあるだろう。ただしこれは体型維持のルーティンであって筋力プログラムではない。
腹筋はこのルーティンがつくったものではない
腹筋の輪郭を決めるのはクランチの回数ではなく体脂肪率だ。720レップは相応のカロリーを使い筋量の維持に働くが、腹筋を見せるのは結局食事だ。どんな高レップ構成でもこの順序は変わらない。
高レップ・ラダーを6種目続けるとセッション疲労がかなり溜まる。同じ週に重いスクワットやデッドリフトを入れる予定なら、順序を逆に — 重いものを先に、高レップを後に — 置く方がよい。
どう組み合わせるか
高レップ・ラダーを捨てる必要はない。置き場所を変えればよい。週2回はビッグ3を3〜5レップ域で扱い、残りの日にこうした高レップ構成を補助として付ける形だ。ボリュームと強度のどちらを先に触るかは高ボリューム対高強度で扱った。
筋力スコアはレップ数を数えない
相対筋力スコアはスクワット・ベンチプレス・デッドリフトの1RM合計を体重・性別・年齢・身長で補正して計算する。720レップはこの式に一項目も入らない。だからこのルーティンを1年続けてもスコアはほぼそのままということが起こり、逆に週2回ビッグ3をきちんとやるだけでスコアは動く。今の自分のルーティンがどちら側かを確かめるには、計算機に現在の1RMを入れて3か月後に測り直せばよい。数字が動かなければ、そのルーティンは筋力を狙っていないということだ。
よくある質問
50回の高レップセットでも筋肉は大きくなるのか?
なる。セットを失敗近くまで持っていけば、低負荷・高レップでも高負荷と同程度の筋肥大が起きるという結果が繰り返し確認されている。ただし同じ刺激が最大筋力まで上げてくれるわけではない。
50-35-21-14はどんな目的に向くのか?
筋肥大と筋持久力、そして関節への負担を抑えたままボリュームを積むことに向く。1種目120レップなのでカロリー消費と筋量維持には有利だが、1RM向上を狙うなら高負荷・低レップの作業が別に必要だ。
このルーティンだけで腹筋は割れるのか?
割れない。腹筋の見え方を決めるのは体脂肪率が先で、クランチの回数は後だ。高レップ練習はカロリー消費と筋量維持には効くが、見せるのは食事の仕事だ。
高レップ練習とビッグ3はどう併用するのか?
週2回はスクワット・ベンチプレス・デッドリフトを3〜5レップ域で扱い、残りの日に高レップ構成を補助として付ける。同じ日に入れるなら重い種目を先に、ラダーを後に置く順序がよい。