RIRは感覚ではなく技術だ — 6セッションで誤差が2.3回減る
要点
RIR(reps in reserve、限界まで残っている反復数)の推定は生まれつきの感覚ではなく、練習で伸びる技術である。33±7歳の13名と67±4歳の13名が6週間で6セッション、ベンチプレスとレッグプレスを1RMの75〜85%の範囲でランダムな負荷を用いて行い、4RIR・2RIRの時点を申告してから限界まで続けたところ、1セッション目に対して6セッション目で平均絶対誤差が最大2.3回減少した。年齢群の主効果もセッション×群の交互作用も有意ではなく、若い側が正確でも習得が速くもなかった。
設計は単純だ。二群それぞれ13名が6週間で6回トレーニングし、毎セッション、ベンチプレスとレッグプレスを3セットずつ行った。負荷はセットごとに1RMの75〜85%の範囲でランダムに決められた — 「この重量なら8回」と記憶で当てるのを防ぐためである。各セットで参加者は「いま残り4回」「いま残り2回」と口頭で申告したうえで、実際の限界まで続けた。これで自分の推定と正解が同じセットの中で照合される。
なぜ6回で改善したのか?
正解をその場で確認したからだ。多くの人はRIRを何年使っても限界まで行かない。すると「残り2回」という判断が正しかったのかは永遠に検証されず、ずれた感覚がそのまま固定される。この研究が6セッションで最大2.3回の誤差減少を生んだのは特別な方法のためではなく、フィードバックの輪を閉じたからである。重量を毎回変えたのも同じ理由で、記憶ではなくその日の感覚で判断させるためだ。
年齢は変数ではなかった
これがこの研究の二つ目の問いだった。67±4歳群は33±7歳群より最初から不正確でもなく、習得が遅くもなかった。統計上、年齢群の主効果もセッション×群の交互作用も認められなかった。RIRによる自動調節が高齢のリフターには難しすぎる、という通念に反する結果である。短い慣らし期間さえ経れば個別化された強度処方の手段として使えるというのが著者らの結論だ。年齢に応じた構成は50代以降も強く鍛えるで扱っている。
記録にはどう反映されるか
RIRを使う理由は、毎回1RMを測らずに強度を合わせるためだ。しかし推定が2回ずれると、75%のつもりのセットが実際には85%になり、週の総量計算も一緒に狂う。だからRIRは定期的に較正すべき計器に近い。月に一度、軽い補助種目を1セットだけ限界まで行って自分の推定と照合すれば足りる。バーの速度から強度を逆算する方法はバー速度が示すパーセンテージ、セットの打ち切り基準は速度低下10%と20%と併せて見るとよい。fairliftに残すビッグ3の1RMも、こうして較正された推定から出てはじめてヘルチャン指数が実際の筋力を反映する。
この研究で毎セット限界まで行ったのは正確さを測るための実験条件であり、推奨プログラムではない。スクワットやベンチプレスのように失敗するとバーベルの下敷きになりうる種目は、セーフティや補助者なしに限界まで行かないこと。較正はマシンや軽い補助種目で行うほうが安全だ。
よくある質問
RIRとは何か?
RIRはreps in reserveの略で、セットを止めた時点で限界まであと何回できたかを表す。2RIRならあと2回できたという意味であり、毎回1RMを測らずに強度を調整するために使われる。
RIRの推定は練習すると正確になるのか?
なる。6週間で6セッションを行った研究では、ベンチプレスとレッグプレスの両方で2RIR・4RIR推定の平均絶対誤差が1セッション目に対して6セッション目に最大2.3回減った。著者らはRIR推定を訓練可能な技術と結論づけている。
年を取るとRIRの推定は不正確になるのか?
この研究では違った。平均67歳の群は平均33歳の群と比べ、最初の正確さも6セッションでの改善の速さも統計的に差がなかった。年齢群の主効果もセッション×群の交互作用も有意ではない。
RIRの感覚を較正するには何をすればよいか?
推定したうえで実際の限界まで行き、照合する必要がある。推定だけしてセットを終えると正解が分からず、ずれた感覚が固定される。安全のためマシンや軽い補助種目で、月に1セット程度行えば足りる。
RIRの推定がずれるとプログラムにどう影響するか?
推定が2回ずれると、1RMの75%で計画したセットが実際には85%程度の強度になる。週の総量と回復計画も一緒に狂うため、RIRはその都度当てる感覚ではなく、定期的に較正する計器として扱うほうがよい。
出典: PubMed