研究

大きな減量から1年後、筋肉はタンパク質を作る設備をむしろ増やしていた

要点

胃バイパス手術を受けた女性41人の外側広筋を手術前と1年後に解析した結果、DNAメチル化が変化した遺伝子8,233個と発現が変化した遺伝子2,173個が特定され、うち1,197個は両方の変化が重なっていた。方向は一つに収束する — 骨格筋の発達を指示する調節因子と、タンパク質を組み立てるリボソーム関連遺伝子の発現が上がっていた。ミトコンドリアタンパク質遺伝子の発現は下がったが、実際のミトコンドリア含量と機能はむしろ改善し、手術前の筋の酸化代謝能力は減量の成功と関連していた。

大きな減量後の筋肉によく使われる言い方は削られただ。この研究が実際の筋組織で見た絵はそれとは違う — 1年後の筋肉は、タンパク質を作る方向に設定が変わっていた。

女性41人が胃バイパス手術の前と1年後にそれぞれ大腿外側の筋肉(外側広筋)を採取された。遺伝子発現とDNAメチル化、筋の代謝測定、臨床データを合わせて解析する設計だ。体重と脂肪量は大きく減り、代謝指標は改善した。

筋肉の中で何が変わったのか

1年後の筋肉ではメチル化が変化した遺伝子が8,233個、発現が変化した遺伝子が2,173個特定され、うち1,197個は両方の変化が同時に起きていた。数より重要なのは方向だ。筋肉の発達を指示する調節因子と、リボソーム — 細胞がタンパク質を組み立てる設備 — 関連遺伝子の発現が上がっていた

ここに誤解しやすい点がある。設備が増えたというのは筋肉が勝手に付くという意味ではなく、タンパク質を作る準備が整ったという意味だ。設備は刺激と材料が入ってはじめて回る。減量後の筋肉はトレーニングとタンパク質に応える状態にあったのであって、それらなしに回復する状態だったのではない。

ミトコンドリア遺伝子は下がったのに機能は良くなった?

最も直感に反する結果だ。ミトコンドリアタンパク質を作る遺伝子の発現は下がったのに、実際のミトコンドリア含量と機能は上がった。著者らはこれをミトコンドリアのが改善した結果と解釈する — 同じ仕事をより少ない設備でこなせるなら、設備を増産する理由は減る。遺伝子発現の低下をそのまま機能の低下として読んではいけない好例だ。

減量がうまくいった人は何が違ったのか

実用的に最も興味深い部分である。手術前の筋の酸化代謝能力、および筋肥大・分化に関わる遺伝子の発現が減量の成功と関連していた。減量を始める前にすでに持っていた筋肉の状態が、結果と一緒に動いたということだ。因果ではなく関連だが、方向はリフターがすでに感じている側を指す — 減量は筋肉を作ってから始めるほうがよい

女性41人、手術による減量、対照群のない前後比較である。手術減量は食事や薬による減量とは速度もホルモン環境も異なるため、この結果がそのまま移るという保証はない。逆方向である増量期の脂肪比率はバルクアップの脂肪対筋肉の比率、タンパク質はタイミングより総量が効く理由はタンパク質のタイミングと総摂取量にまとめてある。

では減量期に何をすべきか

この研究が支持する実行は三つだ。第一に、減量を始める前に筋力トレーニング期間を先に確保する — 減量前の筋肉の状態が結果と関連していた。第二に、減量中も重量刺激を維持する — 増えたタンパク質合成設備は刺激があってはじめて使われる。第三に、材料を切らさない。カロリーを削るのと一緒にタンパク質まで削れば、設備だけあって材料がない状態になる。

減量中の記録はどう読むか

体重は減量が進んでいるかだけを教え、何が減っているかは教えない。その答えはビッグ3の絶対重量にある。体重が下がるあいだスクワット・ベンチ・デッドリフトが持ちこたえるなら減っているのは脂肪である可能性が高く、一緒に下がるなら減量ペースが行き過ぎだ。そして減量期に体重補正されたスコアだけを見るのは危うい — 体重が減るだけで上がる値だからだ。スコアと絶対重量を並べてはじめて、その減量が筋肉を守れているかが見える。

よくある質問

大きな体重減少のあと筋肉はどうなるのか?

この研究で女性41人の大腿の筋肉を胃バイパス手術1年後に調べたところ、筋肉の発達を指示する調節因子とタンパク質合成を担うリボソーム関連遺伝子の発現が上がっていた。筋組織がタンパク質を作る方向に再設定されたということだ。

では減量中に筋肉は自然に維持されるのか?

違う。タンパク質合成設備が増えたのは準備が整ったという意味であり、刺激なしに筋肉が付くという意味ではない。設備は重量刺激と十分なタンパク質が入ったときに作動する。

ミトコンドリア遺伝子の発現低下は悪い兆候か?

この研究では違った。ミトコンドリアタンパク質遺伝子の発現は減少したが、実際のミトコンドリア含量と機能は増加した。著者らはこれをミトコンドリアの質の改善と解釈している。

減量の成否は事前に予測できるのか?

この研究では手術前の筋の酸化代謝能力と筋肥大・分化に関わる遺伝子の発現が減量の成功と関連していた。因果が証明されたわけではないが、減量前の筋肉の状態が結果と連動したという観察である。

減量中に筋肉が守られているかはどう確認するか?

ビッグ3の絶対重量で確認する。体重が下がるあいだスクワット・ベンチプレス・デッドリフトが維持されていれば、減っているのは脂肪である可能性が高い。体重を補正するスコアは体重が減るだけで上がるため、単独で使ってはいけない。

出典: PubMed

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