カプサイシン12mgは筋持久力もジャンプ高も動かさなかった
要点
上級レジスタンストレーニング男性16名を対象とした二重盲検・カウンターバランス化クロスオーバー試験で、検査の40分前にカプサイシン12mgを摂取しても、45度レッグプレスの筋持久力の総反復回数(カプサイシン55±15回、プラセボ52±16回、無処置54±16回、p=0.854)とカウンタームーブメントジャンプの高さ(36.0±3.3cm、36.3±3.6cm、36.2±3.7cm、p=0.976)のいずれにも差がなかった。カプサイシンを摂ったという認識による正負の期待効果も検出されなかった。
カプサイシンが骨格筋のカルシウム代謝を改善するという実験的な根拠があり、エルゴジェニックな可能性が語られてきた。今回の試験は先行研究の方法論的な偏りを整理したうえで問い直したもので、答えは短い — 差はなかった。
どう検証したのか?
参加者は上級レジスタンストレーニング男性16名(24±4歳、73.9±2.7kg、1.73±0.06m)である。まず1RM検査で参加資格を確認し、筋持久力検査の強度を決めた。筋持久力は45度レッグプレスで70%1RM、4セット、これにカウンタームーブメントジャンプ検査を加えた。
設計がこの研究の要だ。十分な事前慣熟セッションを経たうえで72時間以上の間隔をあけて3条件すべてを実施する二重盲検・カウンターバランス化クロスオーバーである。3条件は無処置(対照)、プラセボ、カプサイシン12mgで、カプセルは検査の40分前に飲んだ。
結果は?
- 筋持久力の総反復回数 — カプサイシン 55±15回、プラセボ 52±16回、無処置 54±16回 (p=0.854)。
- ジャンプ高 — カプサイシン 36.0±3.3cm、プラセボ 36.3±3.6cm、無処置 36.2±3.7cm (p=0.976)。
- 期待効果 — カプサイシンを摂ったと信じることによる正の効果も負の効果も検出されなかった (いずれもp>0.05)。
数字を見るとカプサイシン条件が筋持久力で最も高くはあるが、プラセボより3回多いだけで標準偏差が15回だ。p=0.854はこの程度の差が偶然の範囲に収まるという意味になる。ジャンプはむしろプラセボがわずかに高かった。
期待効果がなかったことがなぜ重要か?
サプリ研究でよくある罠が期待効果だ。何かを摂ったと信じるだけでパフォーマンスが変わるなら、成分そのものの効果と区別がつかない。今回の研究は参加者がどの条件を受けたと考えているかまで確認し、その思い込みが結果を押しも引きもしなかったことを示した。
この結果は急性摂取、つまり検査の40分前に一度飲む方式に限られる。対象が上級レジスタンストレーニング男性16名という点も範囲を狭めている。長期摂取や他の集団での効果を否定するデータではない。
マッスルインデックスとどうつながるか
辛い食べ物をよく食べる食習慣はそのままでよい。この研究が否定したのは運動前にカプサイシンのカプセルでパフォーマンスを引き上げるという戦略だ。ビッグ3の記録に使える時間と金があるなら、プリワークアウトの成分表よりプログラムに入れるほうがよい。
成分の根拠がどれほど薄いか、そして複合成分製品にどんなリスクが付くかはサプリの汚染とドーピングリスクに整理した。吸収の段階で崩れる成分の例はポリフェノールサプリの吸収問題で扱っている。
よくある質問
カプサイシンのサプリは筋トレのパフォーマンスに役立つのか?
この試験では役立たなかった。上級レジスタンストレーニング男性16名に検査の40分前にカプサイシン12mgを与えた結果、45度レッグプレスの筋持久力の総反復回数もカウンタームーブメントジャンプの高さも、プラセボおよび無処置と有意な差がなかった。
どれだけ、いつ摂ったのか?
カプサイシン12mgをカプセルで検査の40分前に摂取した。無処置、プラセボ、カプサイシンの3条件を72時間以上の間隔をあけてすべて実施する二重盲検・カウンターバランス化クロスオーバー設計だった。
そもそもカプサイシンが筋に効くという根拠は何だったのか?
実験的な根拠としてカプサイシンが骨格筋のカルシウム代謝を改善するという結果があり、エルゴジェニックな可能性が提起された。ただし先行研究には数多くの方法論的な偏りがあり、今回の試験はその限界を補って設計された。
摂ったと信じるだけで効果が出ることはないのか?
この研究ではそうした期待効果は検出されなかった。参加者がどの条件を受けたと考えているかを確認したが、正の期待も負の期待もパフォーマンス結果に有意な影響を与えなかった。
辛い食べ物を減らすべきという意味か?
違う。この研究が検証したのは運動直前にカプサイシンのカプセルを摂ってパフォーマンスを引き上げられるかであり、その戦略に効果がないという結論だ。普段の食習慣についての研究ではない。