50代でやめる種目は重い種目ではなく、回復に数日かかる種目だ
要点
50代以降のトレーニングでまず調整すべきは重量ではなく種目だ。53歳で爆発的なパワークリーンをこなす俳優パトリック・ウィルソンは、スナッチ・マッスルアップ・ウェイテッドグッドモーニングのように回復に数日かかる動作を外し、ルーマニアンデッドリフト、腕立て伏せ、プッシュプレス、ランニングの4つを残した。判断基準はその種目が与えるものと、翌日のトレーニングを奪うコストの比較である。
53歳の俳優パトリック・ウィルソンは、Apple TVのドラマ『ケープ・フィアー』で爆発的なパワークリーンを行う場面が話題になった。3シーズンにわたりハイロックスのレースを15回完走し、やめるつもりもない。それでも彼が自分で外した種目がある。
彼の言葉はこうだ。「体を使うことはリスクとリワードだ。50を超えたら、やりたくもないし、やる必要もない動作がある。」クロスフィット時代にやっていたスナッチ、マッスルアップ、ウェイテッドグッドモーニングは今では響きが大きく、回復に数日かかる。クロスフィットからハイロックスに移った理由も同じで、負傷リスクが低く、翌日また練習できるほど回復が速いからだ。
なぜ重量ではなく種目を調整するのか
年を取ったら強く追い込めない、という話ではない。ウィルソンは今も強く鍛えている。ただし最大重量やPRのことはまったく考えないと言う。種目で切れば、強度を全面的に下げずに回復を取り戻せる。ひとつの種目が3日を食いつぶすなら、その3日にできなかったトレーニングこそが本当の損失だ。
残した4つ
- ルーマニアンデッドリフト — 殿筋とハムストリングスが大半を担い、体幹と広背筋が脊柱を支える。ウィルソンはバーベルではなく軽いダンベルで行う。重いデッドリフトは必要ないというのが彼の言い分で、狙いは重量ではなくフォームとタイミングだ。床の物を拾うという最も基本的な動作そのものでもある。
- 腕立て伏せ — 胸・肩・上腕三頭筋に加え、フォームが正確なら体幹と殿筋まで働く全身動作になる。良いフォームで連続25〜30回が現実的な目標値だ。
- プッシュプレス — 肩だけの種目ではなく、下半身と股関節のパワーで重量を頭上へ押し上げる動作で、そこから競技への転移が生まれる。3セット6〜8回の低回数で重く扱う。ダンベルやケトルベルのほうが肩の位置は安全だ。
- ランニング — ウィルソンが30年間一度も途切れさせなかった唯一のもの。代替としてスキーアーグがある。クロスカントリースキーのダブルポール動作を模した機械で、ローイングマシンやトレッドミルより上半身の持久力を使う。
腕立て伏せができないなら膝をつくべきか
つくべきではない。多くのトレーナーが膝つきを勧めるが、この姿勢は殿筋と体幹を外してしまうため、通常の腕立てへ上がるのがかえって難しくなる。代わりに手をベンチに置く。体が一直線を保ち、体幹の張りが残る。慣れたら台を徐々に低くし、最終的に床まで下ろす。
50を過ぎてから走り始めても遅くないか
遅くない。一部の研究は50歳以降に走り始めた男性が、生涯走ってきた人と同じくらい速く、絞れた体になったと示唆している。始めた時期が結果を決めるわけではない。関節に合わないなら、上半身の持久力も使うスキーアーグのような機械で代替できる。
筋力スコアは年齢をどう扱うか
fairliftのマッスルインデックスには年齢補正係数が入る。50〜54歳は1.09倍、55〜59歳は1.14倍、60〜64歳は1.20倍で、40代からすでに1.02倍がかかる。同じビッグ3合計なら年齢が高いほどスコアは高く出る。
実務的にはこうなる。50以降は1RMを試す回数を大きく減らしてもスコアを守れる。毎週最大重量近くまでデッドリフトを押し込む代わりにRDLで維持し、ビッグ3の記録更新は四半期に一度だけ狙う。その間も記録は残しておく。種目を変えて実際に落ちたのか維持できたのかが数字で見えるのと、感覚で推し量るのとは別のことだ。
この4つは一人が自分の体に合わせて選んだリストであり、一般的な処方ではない。痛みが出る動作を我慢して押し通さないこと。強度とセッション長の調整については50代以降のトレーニング強度のほうにまとめてある。
よくある質問
50代以降は重い重量を扱ってはいけないのか?
そうではない。53歳のパトリック・ウィルソンは今も強く鍛えており、プッシュプレスは3セット6〜8回の低回数で重く扱う。調整したのは重量ではなく、回復に数日かかる種目のほうだ。
50代以降に外したほうがよい種目は何か?
回復コストの大きい動作だ。ウィルソンが外したのはスナッチ、マッスルアップ、ウェイテッドグッドモーニングで、いずれも実施後に回復まで数日を要し翌日のトレーニングを妨げるものだった。基準は種目名ではなく、その種目が食いつぶす回復日数である。
腕立て伏せが難しいとき膝をついてもよいか?
推奨されない。膝を床につくと殿筋と体幹が抜け、通常の腕立てへ進むのが難しくなる。手をベンチに置いて体を一直線に保ち、慣れるにつれて台を低くしていくほうがよい。
50を過ぎてから走り始めても遅くないか?
遅くない。一部の研究は、50歳以降に走り始めた男性が生涯走ってきた人と同等に速く絞れた体になったと示唆している。関節に負担があるなら、上半身の持久力も使うスキーアーグのような機械で代替できる。
年齢が高いと筋力スコアで不利になるか?
ならない。マッスルインデックスは年齢補正係数を適用する。40〜44歳の1.02倍から始まり、50〜54歳で1.09倍、60〜64歳で1.20倍が掛かるため、同じビッグ3合計なら年齢が高いほどスコアは高く出る。
出典: Men's Health