トレーニング

俳優の上半身ルーティンは8種目中6種目が腕 — 見せる体と挙げる体

要点

公開された上半身セッションは8種目×3セット、8〜12回。重いコンパウンド種目は加重チンニング3×8の1つだけで、ハンマーカール・ダンベルスカルクラッシャー・ケーブルプレスダウン・ケーブルカールの4種目が腕の単関節種目、クローズグリップ・ダンベルベンチプレスも上腕三頭筋寄りだ。下半身・ヒンジ・水平プルはゼロ。「絞れて危険に見える体」という要求に対しては正しい設計だが、スクワットとデッドリフトがないため、このセッションだけではマッスルインデックスは動かない

役作りのトレーニングは目標が明確だ。画面上で細く、かつ危険に見える体である。今回公開された上半身ルーティンもその要求どおりに組まれている。撮影中は1日2回トレーニングし、夜間撮影が続く日は午前3時に行うこともあったという。本人もその時間帯については「健康的ではない、勧めない」と述べている。

実際の構成はどうなっているか

  • 加重チンニング 3セット8回 — このセッション唯一の重いコンパウンド種目。
  • ハンマーカール 3セット12回 — 上腕筋と前腕を狙う単関節種目。
  • クローズグリップ・ダンベルベンチプレス 3セット8回 — プレスだがグリップ幅により三頭比重が大きい。
  • ダンベルスカルクラッシャー 3セット8回 — 三頭の単関節種目。
  • ケーブル・トライセプスプレスダウン 3セット8〜12回 — 三頭の単関節種目2つ目。
  • ケーブル・バイセプスカール 3セット8〜12回 — 二頭の単関節種目2つ目。
  • ケーブルフライ 3セット8〜12回 — 胸の単関節種目。
  • ケーブルクランチ 3セット8〜12回 — 腹部。

合計24セット。うち腕を直接狙うのが12セット、腕の関与が大きいチンニングとクローズグリップベンチを加えると18セットが腕に集中する。胸はケーブルフライ3セットのみで、背中の水平プル(ロウ)は1種目もない。抜け落ちた設計ではなく、腕こそがカメラに映る部位だからそう組んである。

なぜ8〜12回で止まるのか

8〜12回は関節への負担に対して筋肥大刺激が得やすい範囲であり、毎日撮影が続くスケジュールでも回復できる強度でもある。1RMの90%を超える低回数は神経系の疲労が大きく、翌日のコンディションを削る。1日2回鍛えながら最大筋力域まで押し込めば、先に壊れるのは役者の仕事のほうだ。だからこのルーティンにはシングルもトリプルも1セットもない。目標が記録ではなく見た目なら、その領域に入る理由がない。

1日2回・午前3時のトレーニングは真似すべきか

真似する対象ではない。1日2回はボリュームを分散する有効な手段だが、前提は睡眠と食事が確保されていることだ。午前3時のセッションはその前提を正面から壊す。睡眠不足は最大筋力、反復遂行能力、次のセッションの回復をまとめて下げるため(睡眠不足とリフティングのパフォーマンス)、撮影のような外的制約がないなら時間帯を早朝に動かす理由はない。本人が勧めないと言っている部分でもある。

リフターが実際に持ち帰るもの

このセッションはテンプレートではなく補助種目ブロックとして使えば価値がある。ビッグ3中心のプログラムで腕の直接刺激が足りないなら、1部位につき角度の違う2種目という構成は参考になる。ハンマーカールとケーブルカールは肘への負荷方向が異なり、スカルクラッシャーとプレスダウンも同じ関係にある。ただしその前には重いコンパウンド種目が必要だ。マッスルインデックスはスクワット・ベンチプレス・デッドリフトの1RM合計から算出されるため、ケーブル種目をいくら増やしてもスコアは変わらない。どの種目が記録につながるかはコンパウンド種目の転移ビッグ3が取りこぼすものにまとめてある。

役作りのルーティンは終了日が決まっているトレーニングだ。腕にボリュームを集中させ下半身を外せるのは、撮影が終われば戻すという前提があるからだ。同じ構成を数か月続ければ、下半身と背中の水平プルに筋力の偏りが積み上がる。

よくある質問

俳優の上半身ルーティンはなぜ腕の種目が多いのか

目標が記録ではなく画面上の形だからだ。腕はシャツを着ていても露出し、クローズアップで最も大きく映るため、限られた時間を腕に集中させるほうが要求に合う。下半身やヒンジ種目は画面への寄与が小さく優先順位が下がる。

このルーティンでビッグ3の記録は伸びるか

ほとんど伸びない。8種目にスクワットもデッドリフトもなく、唯一のプレスは三頭寄りのクローズグリップだ。マッスルインデックスはスクワット・ベンチプレス・デッドリフトの1RM合計で計算されるため、このセッションだけを繰り返してもスコアは停滞する。

二頭と三頭をそれぞれ2〜3種目ずつやるのは多すぎるか

それ自体は多すぎない。肘への負荷方向が異なる種目を並べると刺激の幅が広がる。問題はそれがセッション全体を占めるときだ。重いコンパウンド種目の後ろに置く補助ブロックとして使うのが安全な使い方になる。

1日2回のトレーニングは効果があるか

ボリュームを分散する方法としては有効だが、睡眠と食事が確保されている場合に限る。睡眠時間を削って2回目を作る方式は最大筋力と次のセッションの回復を同時に下げるため、差し引きで損になりやすい。

加重チンニング3セット8回はどれくらいの重量か

体重に加える重量で8回を正直に完遂できる水準で、目安として1RMの75〜80%にあたる。8回目でフォームが崩れるなら重量を下げ、最後の1回をコントロールできる状態で終えるほうがよい。

出典: Men's Health Fitness

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