ベンチ2.5kgの自己ベストは本物か — パワーリフターの1RMは日によって約2%ぶれる
要点
地域〜国内トップレベルの男性パワーリフター16〜19人の6〜10週間の練習記録で、1RMの測定誤差(SEM)はスクワット4.16kg(2.20%)、ベンチプレス2.60kg(2.09%)、デッドリフト4.07kg(1.95%)、トータル6.09kg(1.17%)だった。2010〜2025年のIPFノーギア・オープン大会で順位を1つ上げるにはトータルで14.3〜44.2kg多く必要だったが、多くの順位差はこの測定誤差の範囲に収まった。1種目の数kgの更新より、トータルの継続的な伸びのほうが信頼できるシグナルだ。
同じ人が同じ週に1RMを2回挙げても、記録はまったく同じにはならない。地域〜国内トップレベルの男性パワーリフター16〜19人の6〜10週間の練習データを分析した研究で、最大1回の測定誤差(SEM)はスクワット4.16kg(2.20%)、ベンチプレス2.60kg(2.09%)、デッドリフト4.07kg(1.95%)だった。3種目を合わせたトータルは6.09kg(1.17%)で、割合では最も安定していた。
順位を1つ上げるには何kg必要か?
研究チームは2010〜2025年の国際パワーリフティング連盟(IPF)ノーギア・オープン部門の大会記録も分析した。順位を1つ上げるのに必要な差は平均でスクワット6.3〜18.3kg(4.0〜10.7%)、ベンチプレス4.9〜13.6kg(4.7〜13.4%)、デッドリフト6.5〜16.1kg(3.7〜9.3%)、トータル14.3〜44.2kg(3.6〜9.5%)で、性別、大会レベル、順位によって幅があった。
問題は、その差の大半が測定誤差で説明できる範囲にあったことだ。誤差を超える確率は世界選手権、男子、下位の順位、そしてトータルより個別種目で最も低かった。とくに女子の4位→3位、男子の3位→2位でその確率が最も低く、研究チームは選手が表彰台の境目付近に試技重量を集める戦略のためではないかとみている。
自己ベストが本当の実力向上かどうかはどう判断するか?
- 1回の記録で判断しない — ベンチプレスの2.5kg差はこの研究の測定誤差(2.60kg)の範囲内だ。数週間にわたって同じ方向に繰り返されたときに実力の変化とみる。
- 個別種目よりトータルを見る — トータルの誤差は1.17%で、個別種目(約2%)の半分ほどだった。
- 測定条件を固定する — 同じ時間帯、同じウォームアップ、同じ器具で測れば誤差は広がりにくい。
ヘルチャン指数の記録にはどう生かすか?
fairliftのヘルチャン指数はBIG3トータルをもとに計算する。この研究の数字に従えば、1種目の数kgの変化より、トータルの着実な伸びのほうが信頼できるシグナルだ。スクワットが2.5kg落ちた日があっても測定誤差の範囲なので、記録を消したり迷ったりする必要はない。測定時間を揃える理由は1RM測定の時間を揃えるべき理由で、今の記録の位置はヘルチャン指数計算機で確認できる。
測定誤差の数値は熟練した男性パワーリフターの練習記録から得られたものだ。初心者や女性リフター、技術がまだ安定しない人は、日ごとのぶれがもっと大きい可能性がある。
よくある質問
パワーリフターの1RMは日によってどれくらい変わるのか?
地域〜国内トップレベルの男性パワーリフターの研究で、測定誤差(SEM)はスクワット4.16kg(2.20%)、ベンチプレス2.60kg(2.09%)、デッドリフト4.07kg(1.95%)、トータル6.09kg(1.17%)だった。
パワーリフティング大会で順位を1つ上げるには何kg必要か?
2010〜2025年のIPFノーギア・オープン大会記録では、順位を1つ上げるのに平均でトータル14.3〜44.2kg(3.6〜9.5%)多く必要だった。性別、大会レベル、順位によって差が大きかった。
ベンチプレスの2.5kg更新は実力が伸びたということか?
1回だけの2.5kg差は、熟練パワーリフターのベンチプレスの測定誤差(2.60kg)の範囲内なので、実力の変化とは言い切れない。数週間にわたって同じ方向に繰り返されてから本当の向上とみるほうが安全だ。
個別種目の記録とBIG3トータルはどちらが信頼できるか?
トータルのほうが安定している。この研究でトータルの測定誤差は1.17%で、約2%だった個別種目の半分ほどだった。
出典: PubMed